どうも、ぺのっぺです。
(への)/
今日は
「日本語と漢字仮名交じり文」の
「変遷」を見て行きたいと思います。
一口に「漢字仮名交じり文」といっても、
時代によって様々ですので、
是非、その変遷ぶりをご堪能ください。
(への)
さて、変遷をめぐる前に、
ポイントを3つ挙げておきます。
1,どんな仮名?
万葉仮名・変体仮名
・旧仮名・新仮名、など
2,どんな漢字?
新漢字・旧漢字・異体字、など
3,どんな仮名遣い?
歴史的仮名遣い・現代仮名遣い、など
それでは、早速、
見て行くとしましょう!
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万葉仮名と旧漢字楷書・行書と上代特殊仮名遣い
「万葉仮名」については
こちらの記事で書いていますが…、
カンタンにまとめておきます。
「万葉仮名」というのは、
その名の通り、
「万葉集の時代の仮名」で、
漢字が書き崩される
以前の仮名です。
カンタンにいうと、
「夜露死苦」ですね(笑)
漢字の発音のみを借りて
単語を表記する
というものです。
漢字の「意味」を無視して
使うことが出来ます。
まあ、「夜露死苦」は
「意味」を意識して使ってますが…
もちろん、「意味」を意識して
漢字を選んでもいいわけなんです。
さて、そんな万葉仮名ですが、
万葉集を見てもわかる通り、
今の日本語と大分違います。
また、古文よりも時代が古いので、
仮名遣いは
「上代(じょうだい)特殊仮名遣い」
という万葉独特の仮名遣いでした。
カンタンに言うと、
「アイウエオ」が
「5個」ではなく、
「8個」もあったんですね。
そのため、
2種類の「イ・エ・オ」を
区別していました。
ドイツ語をかじったことのある人なら、
「Ü」・「Ä」・「Ö」は
ご存知だと思いますが、
あれと丁度よく似ています。
また、漢字の方はというと、
もちろん「旧漢字」ですが、
万葉時代独特の「異体字」や
「熟語」も結構ありました。
弖爾遠波(てにをは)
「往く」→「徃く」
「朝」→「旦」
など。
そして、「万葉仮名」は
漢字と混ぜ書きもされてました。
万葉仮名単体のものも
多数ありましたが…、
漢字と混ぜ書きもされたので、
別名「真名仮名(まながな)」
と呼ばれたりしてます。
真名
=漢字を漢字として使うこと
変体仮名と旧漢字草書と定家仮名遣い
時は「平安」。
漢字を書き崩して
「変体仮名」が生まれました。
(つなげ書きも誕生!!)
仮名遣いも、
万葉の「8母音」から
「5母音」になったので、
それにともなって変わります。
もちろん、
文法も変わって行きますよ。
ただ、仮名遣いですが、
「定家仮名遣い」
(ていかかなづかい)
という、
藤原定家が定めた
仮名遣いをします。
例えば、「夜」を
「よる」と読むときは
「変体仮名」で、
「よ」と読むときは
「漢字草書」で書く、
など。
漢字と仮名を適当に
混ぜ書きするのではなく、
「単語」ごとに
漢字で書くか、仮名で書くか
が決まっている!
という仮名遣いだったんです。
この点は万葉仮名の方が
自由ですね。(への)
変体仮名と旧漢字草書と契沖仮名遣い
さて、時代を一気に下って、
「江戸」。
この時代、
「五十音図」が今の並びになり、
「歴史的仮名遣いの原型」
とも言える、
「契沖仮名遣い」
(けいちゅうかなづかい)
が作られました*。
*一方で、俗用表記もあり、
現代でも「どぜう」などの表記に残る!
本来は「泥鰌(どぢやう)」!
〜
「変体仮名」も平安に比べると、
数が減り、断然覚えやすく、
読みやすくなりました。
それでも、
「つなげ文字」が現役なので…、
字の切れ目がわかりづらく、
見た目には同じ日本語とは
思えません…orz。
変体仮名・ひらがな・カタカナと旧漢字楷書と歴史的仮名遣い
そして、「明治」。
学制がしかれ、
西洋の文物がどっと入り、
「政治」や「経済」などの
様々な漢語が新たに作られた時代です。
この時代、
現在の「ひらがな・カタカナ」も
作られました。
それでも、
あの福沢先生の
「学問のすゝめ」には、
まだ「変体仮名」が使われてました。
それも、ひらがなと混ぜ書きされたんです。
ただし、印刷の都合上、
「つなげ書き」はされず、
変体仮名フォントのように
「独立した仮名」としての
使用でした。
つなげ書きがされてないため、
ひらがな達の中に紛れる
「変体仮名」は…
やはり目立ちます!
「崩し方」や「その度合い」が
まるで異なるからです*。
*そのせいか、変体仮名は
1900年(明治33年)に
小学校令で廃止されてしまいました。
その後、なぜか
漢字と混ぜ書きされるのは
「カタカナ」が多くなります。
〜
また、この時代、
「契沖仮名遣い」をもとに、
古文の授業で使われる
「歴史的仮名遣い」
が作られました。
いわゆる、
「旧仮名遣い」
というやつですね。(への)
今の「現代仮名遣い」に比べ、
「発音通り」(字音通り)ではなく、
同じ発音の漢字や単語でも、
「漢字」や「単語」ごとに
つづる仮名が違うのが特徴です。
例)
「オー」=王(ワウ)・桜(アオ)
「コイ」=鯉(コイ)・恋(コヒ)
「発音通り」に比べ、
「漢字」や「単語(スペル)」を
書き分けることが出来ます。
〜
あと、漢字は「旧漢字」です。
ただ、「異体字」や
「略字」も結構多く…、
「塩」などの「新漢字」は
「略字」に由来しています。
ひらがな・カタカナと新漢字と現代仮名遣い
そして、「戦後」。
「新漢字」と「現代仮名遣い」が作られ、
「ゐ」や「ゑ」などの「旧仮名」は
「歴史的仮名遣い」とともに
廃止されました。
ただそれでも、
「現代仮名遣い」、
特に「ひらがな」は
「完全な発音通り」(字音通り)、
というわけでは、ないですけどね…。
例)
わたしは(ワタシワ)
ありがとう(アリガトー)
また、「ッ・ャ・ァ」などの
「捨て仮名(小文字の仮名)」が作られ、
「濁点・半濁点」は
省略できなくなりました。
「漢字」と混ぜ書きされるのも、
「カタカナ」に代わって
「ひらがな」がスタンダードになり、
横書きは右横書から
左横書きに変わりました。
新聞を見ると、戦前と戦後で
変わっているのが一目瞭然です。
「横書き」自体も増え、
英語(アメリカ)からの外来語も増加し、
「カタカナ語」も多く生まれて行きました。
〜
そんなこんなで今に至る、
というわけです。
以上、漢字仮名交じり文の変遷でした。
m(_ _)m
というわけで、今日はこの辺で。
それでは、また(への)/
P.S.
記事本文では省きましたが、
上記の3つのポイントの他に、
「第4のポイント」として、
「どんな日本語?」が挙げられます。
日本語は「文語」に限定しても、
長い歴史の中で仮名遣いとともに
かなり変遷して来ているんです。
〜
例えば、「明治」。
「言文一致運動」
(口語と文語の一致を目指す運動)
が文豪たちを中心に興り、
それまでの
「候文(そうろうぶん)」
から移行しました。
日本を今一度せんたくいタし申し候
→本日天気晴朗ナレドモ波高シ
また、この言文一致運動の時代は、
各文豪によって「異なる日本語」が
書かれた時代でもあります。
〜
次に「戦後」。
歴史的仮名遣いや
旧仮名だけでなく、
敗戦の影響からか
「文語調」や「美文調」も
廃れました。
また、英語の影響が強くなり、
三人称に「彼女」が加わりました。
「主語」が明示されることも増え、
「!」や「?」も使われるように
なって行きました。
このように、表記方法だけでなく、
表記される日本語も語彙含め
変遷して来たわけなんですね。
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