「とりなく歌」は明治のイロハ歌♪酉年にこそ相応しい!

どうも、ぺのっぺです。

(への)/

今年は酉年というわけで、

酉年に関することを

ひとつトリ上げたいと思います。

ちなみに、去年の申年は

猿の木登り文字として

オガム文字をご紹介しました。

下から上に読み書きする

申年に相応しい文字でしたね。

では、今年はというと…

何と文字ではありません。

え?文字ブなのに!?

いえいえ、

「文字」ではないですが、

ちゃ〜んと、

「文字に関すること」

をトリ上げますよ。

「文字ブ」ですから(笑)

それがコチラ!

「とりなく歌」

とりなく歌??

確かに知らない歌ですね。

でも、それもそのはず、

これは知られざる

「明治のイロハ歌」

だからです。

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まずイロハ歌とは?

「イロハ歌」の方は

結構有名ですよね。

いろはにほへと

正月の「いろはかるた」

日光の「いろは坂」でも

お馴染です。

暗誦しろと言われると、

結構トラウマかもしれませんが、

最初の「7文字」は

テストの選択肢にも

使われています。

ちょうど、

英語のABCDEFG

に当たるものですね。

さて、特徴としては、

日本語の全ての仮名を一度ずつ

使っていることが上げられます。

「ん」や濁点・ヤ行を除く

47音すべての仮名。

いろはにほへと ちりぬるを

わかよたれそ つねならむ

うゐのおくやま けふこえて

あさきゆめみし ゑひもせす

厳密には

「全ての仮名を意図していない」

のですが、これはまた別の記事で。

明治のイロハ歌♪

でも、そんなイロハ歌の他にも

全ての仮名を一度ずつ使った歌

があったことをご存知でしょうか?

それが、

「とりなく歌」

「とりなく歌」は明治時代、

坂本百次郎によって作られた

もうひとつのイロハ歌です。

萬(よろず)朝報という

新聞に募集された

新しいイロハ歌の

一等入賞作品なんですね。

戦前には、

「とりな順」として、

辞書の並び順に

「いろは順」と並んで、

採用されていました。

とりなくこゑす ゆめさませ

みよあけわたる ひんかしを

そらいろはえて おきつへに

ほふねむれゐぬ もやのうち

イロハ歌と違い、

「ん」を含めた48字すべて

を一度ずつ使っているのが特徴です。

イロハ歌の方は、

「ん」「む」が当時

同一視されてたため、

一字少ないんですね。

イロハ歌&とりなく歌の共通点♪

七五調の歌♪

いろはにほへと ちりぬるを

とりなくこゑす ゆめさませ

全ての仮名を一度ずつ

使っているだけでなく、

七五調の歌にもなっている。

これは驚きです。

夢から覚めることを歌っている!

どちらも

「夢」から覚めること

をテーマに歌っています。

<イロハ歌>

あさき「夢」みし

<とりなく歌>

「夢」さませ

同じ言葉が使われている!?

また、両者には

共通してある言葉が

使われています。

それが…

「イロハ」と「夢」

<イロハ歌>

「イロハ」にほへと

あさき「夢」みし

<とりなく歌>

そら「イロハ」えて

「夢」さませ

「イロハ」には

「色は」と「色葉」

2通りの解釈がありますが、

仮名自体は「イロハ」

共通してます。

また、「夢」の方は

単語レベルで完全に

一致してますね。

夢から覚めることを

共通のテーマとしていますし、

やはり、とりなく歌は

イロハ歌を意識して

作られていると言えます。

…それにしても、

「イロハ」と「夢」とは、

何とも意味深ですよね。

2つ合せて読むと

「色は夢」

と読めますし。

「見えるものは夢?」

ということでしょうか。

どちらも古文…

しかし、残念ながら、

どちらも「古文」です。

いくら新しいと言っても、

「とりなく歌」は

明治に作られたものなので、

イロハ歌同様、

現代文ではありません。

そのため、現代人からすると、

少し距離感を覚えてしまいます。

(口語訳が必要…)

旧仮名2文字も使われてますし、

イロハ歌同様、ヤ行がなかったり、

清濁の区別がなかったり。

何より、

「半濁音」や「ファ系統」がない

というのは、

現代日本人からすると、

「全ての仮名」

という感じがしませんよね。

とりなく歌の解釈☆

舞台は海辺:季節は春先

帆船が行き交う

「海辺」が舞台。

季節は朝靄の立ち込める

「春先」

(靄は春:霧は秋)

もちろん、時刻は

夜が明け切って間もない

「朝方」です。

明け渡る

=夜がすっかり明けて

一面に明るくなる意。

参考:goo

倒置法が使われている!

あけわたるひんがしを みよ

     ↓↓

みよ あけわたるひんがしを

倒置しなくても

全ての仮名は使えますが、

倒置することで七五調になり、

詩としての完成度を上げています。

とり=酉??

さて、最後に、

「トリ」を飾るものをひとつ。

おそらく、

皆さんはここまで

「とり=酉(=鶏)」

と思って読んで来られたかと思います。

「とりなく(=鶏鳴く)」

ですからね。

でも、漢字が

当てられていないことに

疑問を思った方は

「とり=酉(=鶏)」

ではないことにも

気付かれたのではないでしょうか。

鳥啼く声す 夢覚ませ

見よ明け渡る 東(ひんがし)を

空色映えて 沖つ辺(べ)に

帆船群れゐぬ 靄(もや)のうち

<拙訳>

鳥が啼く声がする

だから(もう)夢から覚めて 

夜が明けた東方を(共に)見よう

空の色がきれいに映えて、

靄の中、帆船が沖に集まっている

そう!

とり=「鳥」!

「鶏」じゃないんです。

鳥啼歌

「とりなく声す、夢覚ませ!」

と聞くと、どうしても

朝を告げる「鶏」の方が

浮かんでしまいますが、

実は「鳥」の方だったんですね。

鳥=??

でも、ここでもうひとつ

思い出して頂きたいのが、

「鳥啼歌の舞台」

朝靄立ち込め、

帆船が行き交う

「海辺」ですよね。

ということは…

そう!

「鳥=海鳥」

「鳥」といっても

「空の鳥」ではなく

「海の鳥」なんです!

だから、

「鳥啼く」とは

小鳥のさえずりではなく、

海辺を飛び交う

ウミネコの啼く声

だったわけですね。

(あるいはカモメ)

コケコッコーでも

チュンチュンでもなく、

ミャ〜ミャ〜♪

これが海辺の町流の

「目覚まし」というわけです。

というわけで、今日は

「酉」会えずここまで。

それでは、また(への)/

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