世界ローマ字巡り!⑤ポルトガル:宣教師の甘美なローマ字遣い★

どうも、ぺのっぺです。

(への)/

世界ローマ字巡り、5回目の今日は

甘美な国「ポルトガル」

見て行きたいと思います。

ちなみに前回はこちら♪

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宣教師のローマ字巡り♪

といっても、実は四百年も昔に、

ポルトガルは当時の日本を

ローマ字巡りしてくれてるんですよ。

四百年も昔?

日本で言うと戦国時代…

南蛮貿易・キリシタン・宣教師!?

そう、宣教師です!

日本に初めて来た西洋人。

彼らがキリスト教布教の一環として

四百年も昔に我らが日本語を

「ポルトガル式ローマ字」

直してくれていたんです。

これが、

「最初の日本語ローマ字」

もちろん、日ポどちらも

四百年も昔のものですし、

宣教師のためのもので、

日本には定着しませんでしたが、

それでも、記念すべき

「最初の日本語ローマ字」なので、

今日はそちらをご紹介して

行きたいと思います。

それでは、早速参りましょう!

ポルトガル式ローマ字

まずは、下の50音図をご覧下さい。

(イェ) (ウォ)
a i, j, y u, v ye vo
ca qi cu, qu qe, que co
ga gui gu gue go
(シェ)
sa xi su xe so
(ジェ)
za ji zu je zo
ta chi tçu te to
da gi zzu, dzu de do
na ni nu ne no
(ファ) (フィ) (フェ) (フォ)
fa fi fu fe fo
ba bi bu be bo
pa pi pu pe po
ma mi mu me mo
(イェ)
ya i, j, y yu ye yo
ra ri ru re ro
(イェ) (ウォ)
va i, j, y u, v ye vo

()は当時の発音!

赤は現在のローマ字と

大きく違うもの。

「qe」⇔「ke」

緑;特にア行とワ行は

仮名では区別してても

同じ発音のもの。

オ・ヲ=「vo」

ちなみに、

「拗音(ヤ行系)」はこうです。

「キャ、ギャ」=「quia, guia」

「シャ、ジャ」=「xa, ja」

「チャ、ヂャ」=「cha, gia」

「ニャ」=「nha」

「ヒャ」=「fia」

「ミャ」=「mia」

「リャ」=「ria」

また、「オの長音」が

2種類あります。

片方は現在の「オー」と同じ。

(合音)[oː]

ô

例えば、大阪(大坂)の「大」は

「ô」を使います。

Vôſaca

*当時の「オ」は「wo」!

もうひとつは、

現代語にはない「オー」ですが、

これは古文で「あう」と書くタイプ。

(開音)[ɔː]

ŏ

例えば、

「ありがとう」や

「おめでとう」は

歴史的仮名遣いでは

「ありがたう」

「おめでたう」

なので、こちらのタイプになります。

Arigatŏ!

Vomedetŏ!

「あう」のつづり通り、

口を大きめに開けて発音します。

ただし、拗音となると、

見分けるのが途端に難しくなります。

仏教(ぶつけう)

=bucqeô(bucqueô

仏経(ぶつきやう)

=bucqiŏ(bucquiŏ

でも基本、「あう」が

含まれてる方が「ŏ」ですね。

ちなみに、

京都や東京の「京」の字は

歴史的仮名遣いが「きやう」なので

「ŏ」のグループになります。

京都(きやうと)

=Quiŏto

東京(とうきやう)

=Tôquiŏ

*大阪(おほさか)

=Vôſaca

もっと知りたい方は

こちらのサイトさんの

50音図がより詳しく載ってて

参考になりますよ♪

特徴いろいろ♪

一音多字

1つの発音に

2つ以上の文字が当てられる。

イ=i・j・y

ウ=v・u

ク=cu・qu

ちょうど、当時使われていた

変体仮名といっしょです。

全部「か」!

ただし、変体仮名と違って、

ある程度使い分けのルール

のようなものがありました。

例)

「v」は語頭、

「qu」は動詞の「〜く」

など

助詞は続け書き

現在のローマ字と違い、

助詞は単語の一部として

続け書きします。

確かにアクセントは

助詞を含めて決定されるので、

単語の一部という解釈の方が

合っているのかもしれません。

「s」の別字体「ſ」

「s」の古い別字体

ロングエス「ſ」。

ſ:s

語尾以外の小文字で使われます。

詳しい使い分けは

こちらをどうぞ♪

>>長いs

現代では欧州語から

姿を消しましたが、

かつては色々な国で

使われていました。

例えば、

ドイツ語のエスツェット「ß」は

このロングエス「ſ」と

ツェット「z」の合字ですし、

ß=ſ*z

英語でも、

シェイクスピアの時代には

まだロングエスが使われていました。

でも、見掛けが「f」の小文字

そっくりだったためか、

18世紀後半から19世紀前半頃

にかけて使われなくなります。

ſ:f

「ç(セディーユ)」の存在

フランス語でお馴染みの

「セディーユ(ç)」。

でも、「tçu(ツ)」にしか

使われません。

以上が大体の特徴です。

あと、ローマ字転写ですが、

殆どは当時の歴史的仮名遣いを

転写しています。

例えば、「水」は、

歴史的仮名遣いでは

「みづ」なので、

「Mizzu」

ただ、「オ」や「ヲ」を

発音通りに「vo」と表すなど

あくまで当時の発音の転写でした。

他にも助詞の「は」は「ua」

もっと知りたい方は

こちらのサイトさんのPDFが

参考になるのでどうぞ♪

詳しい使い分けも載っています。

ポルトガルの外来語

さて、ポルトガルと言ったら

忘れては行けないのが

もうひとつありますよね。

甘美で黄色くて

茶色いレゴのお城♪

そう、【カステラ】です!

さて、今度は、

そんなカステラを始めてする、

南蛮の外来語の数々を

漢字の当て字とともに、

見て行くとしましょう。

加須底羅:castella(カステ〜ラ)

ご存知「カステラ」

古い表記では「かすていら」。

ポルトガル語で

スペインの地方名カステリヤを

「Castela(カステーラ)

呼んだことに由来するとか。

または「お城」を意味する

「catelo(カステーロ)」

(城のように高くなれ!)

英語の「castle(キャッスル)」

でも、ポルトガル本国にはなぜか

このお菓子は残ってないんですよね。

Castellauo taberu.

ちなみに、

ポルトガル語に似せた

別バージョンがこちら♪

Castella o taber.

ポルトガル語では、

定冠詞が「o」で、

動詞の語尾が「r」なので、

こうすると、

「擬似ポルトガル語」に見えます。

「る」を「r」、「を」を「o」

他にも、宣教師流とは逆に

助詞を分けて書く…、

例えば「の(no)」や

「で(de)」を離して書くと…、

Castella no xiro de curaſu.

否定を意味する「no」や

「of」に当たる「de」に見えます。

もちろん、

意味は通りませんよ(笑)

歌留多:carta(カルタ)

さて、正月の「歌留多」も

実はポルトガル語。

でも、伝来当時は

カードゲームの「トランプ」

を指していました。

なので、この当て字では、

「Carta」になりません。

ただ、当時のトランプ

「天正かるた」は

「12*4の48札」だったので、

「いろはかるた」と枚数は一致してます。

Irofacartade aſobu.

「天正かるた」については

こちらのリンクをどうぞ♪

合羽:capa(カパ)

「レインコート」は日本語で

「雨合羽(あまがっぱ)」

濁点まで付けて違和感なく、

祭りの「ハッピ」のように

溶け込んでいますが…、

これも実はポルトガル語。

なので、「河童」は

関係ありません。

Amagapauo quite

decaqueru cappa.

南瓜:camboja(カンボジャ)

「カンボジャ」って

「カンボジア」!?

そう、「カンボジア」。

国名の「カンボジア」を意味する

ポルトガル語なんです。

それが、「かぼちゃ」のお化け

もとい、「かぼちゃ」の馬車の

語源になるわけですね。

Cambojano baxa.

金平糖:confeito(コンフェイトー)

これもポルトガルのお菓子

に由来します。

当て字が秀逸で

日本語として違和感がないですが、

れっきとしたポルトガル語です。

また、当時の日本語の発音では、

「ハ行」が「ファ行」だったので、

「コンフェイトー」と

そのまま読んでたのかも知れません。

Confeitouo tçucuru.

如雨露:jorro(ジョッロ)

「お花にラララ〜♪」

の「ジョーロ」も、

実は「水の噴出」を意味する

ポルトガル語。

同じ庭仕事でも

こちらは「噴水」を思わせますね。

Jorrode vofanani

vomizzuuo agueru♪

当時は「オ」も「ヲ」も「wo」!

煙草:tabaco(タバコ)

タバコは英語で

「シガレット♪」

タバコ屋さんの表記も

実は「k」ではなく「c」

Tabacoua ſuvanai.

天麩羅:temprar(テンプラル)

「天麩羅〜!!腹切〜!!」

の片割れも実はポルトガル語。

Temprauo agueru.

(Tempraruo agueru.)

その後、侍の魂は

「砂糖天麩羅(ドーナツ)」を

生み出します。

麺麭:pão(パォん)

これは結構有名ですね。

「パン」。

英語学習したての頃は

英語で「パンはパン」

だと思ってましたが、

実際は、

「バン」や「ブレッド」。

ban bread

一応フランス語でも

「パン」は「pain(パン)」ですが、

由来はあくまでポルトガル語です。

Anpãomanua quimi ſa!

釦:botão(ボタォん)

お花のボタンは漢語。

「牡丹」

スイッチのボタンは英語。

「Buttun」

でも、お洋服のボタンは

ポルトガル語です。

「Botão」

Mata botãono

caquechigaye ca….

木乃伊:mirra(ミっラ)

「ミイラ」はエジプト語ではなく、

英語でもなく、実はポルトガル語。

エジプト語:セフ

英語:mummy

ポルトガル語で

「没薬(もつやく)」を意味する

「mirra(ミッラ)」に由来します。

(ミっラ)ミイラ顔

Mirratoriga mirra.

以上、ポルトガルの外来語でした。

一部「ão(アォン)」など

変わったつづりがありますが、

基本ローマ字読みで

読めてしまいますね。

それに「ão(アォン)」

何となく「阿吽」の字面で

覚えられます。

意外な外来語!

オンブ:ombro(オンブロ)

「オンブ〜」は

「ブーブー」と違って

幼児語ではありません。

実は「肩」を意味する

ポルトガル語なんです。

なので、「肩にオンブ〜」は

まさに、「オンブ」なんですね。

Ombu〜!!(Ombro〜!!)

シャボン玉:sabão(サバォん)

シャボン玉飛んだ〜♪

何となく「しゃぼ〜ん」の

擬態語に聞こえますが、

(´・ω・`)

実はポルトガル語。

しかも意味は「石鹸」。

なので、石鹸の泡こそ

_ 。。(シャボン玉)なんです。

Sabãodama tonda♪

ブランコ:balanço(バランソ)

これも「ブラン〜ブラン〜」

という擬態語に聞こえますが、

実はポルトガル語。

ただ響きとしては

「白」を意味する

「ブランコ(branco)」

の方が近いんですけどね。

(一応由来説の1つ)

Xiroi branco.

(Xiroi balanço.)

ちなみに、ポルトガル語で

「ブランコ」はどうやら

この「バランソ」みたいです。

>>balanço

ビードロ:vidro(ヴィードロ)

「ワ行」に当てられていた

「V」ですが、

本来は「ヴァ行」の発音。

というのも、

ポルトガル語には

「ワ行」がないから。

そして、

この「ビードロ」も

本来は「ヴィードロ」

Vidrouo fuqu.

日ポお互いに

母国語にない発音に

苦心しているわけですね。

「ビードロ」については

こちらのリンクをどうぞ♪

襦袢:gibão(ヂバォん)

「襦袢」と漢字で書かれると

漢語由来に見えますが、

実はポルトガル語。

和服の下着の名称が

外国語に由来するとは

何とも奇妙ですよね。

Gibãouo quiru.

「襦袢」については

こちらのリンクをどうぞ♪

>>襦袢

コラム

現在のポルトガル語

現在、ポルトガル語というと

ブラジルポルトガル語の方が

メジャーです。

Bon dia(ボンーア)

なので、

ポルトガル本国のポルトガル語は

あまり馴染みがないかも知れません。

Bon dia(ボンディーア)

それに、宣教師のポルトガル語は

四百年も昔のポルトガル語なので、

現代ポルトガル語とは

発音に「ズレ」があります。

例えば、「ジョーロ」は、

現代ポルトガル語では

「ジョーホ」に近く聞こえます。

なので、これまでに上げたのは

今までのローマ字巡りのように、

現代の使用をモーラするものでは

ありません。

ただそれでも、

四百年前の交流の歴史と、

最初の日本語ローマ字を知る

大きな手がかりとなるので、

今回はあえて、現代ではなく、

南蛮時代の方を取り上げました。

古くて新しいローマ字遣いを

楽しんで頂けたなら幸いです。

まとめ

宣教師のローマ字が

最初の日本語ローマ字

定着はしなかったものの

現代のローマ字にはない

独特の仕様が興味深い!

(一音多字や「ſ」)

現在のポルトガル語や

ブラジルポルトガル語とは

発音に「ズレ」があるが、

それでも、かつての

交流の歴史を伝える

重要な遺産♪

何より外来語が多く渡来!

まさに【カ・ス・テ・ラ】♪

以上、ポルトガル宣教師の

カステラローマ字でした。

というわけで、今日はこの辺で。

それでは、また(への)/

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