アルファベットほど 完成した文字は他にない。
たった26文字で 万物を表現できる簡便さと、 母音と子音を分けて 表記できる優れた表音性から 世界中の様々な言語で 使われているほどである。
人類の行き着いた究極の文字体系 と言っても過言ではない。 |
それでは引き続き、
アルファベットの神話を
潰して行きましょう。
前回は漢字との比較から
26文字神話を打ち砕きました。
26文字しか
使われていないのであって、
26文字の暗記で十分
というのが飛躍である、
という内容でした。
そこで今回は、
仮名と比較しながら、
3行目の
「母音と子音を分けて
表記できる優れた表音性」
のところを疑って行きたいと思います。
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もちろん、
アルファベットのすごいところも
シリーズの最後にまとめますので、
アルファベット好きのみなさんも、
しばらくお待ちくださいね。(への)
それでは前置きが長くなりましたが、
早速見て行くとしましょう。
アルファベットは母音と子音を区別する!?
確かに、これは日本語の
仮名とは違う利点に思えます。
仮名は母音と子音が一体の
同時表記ですからね。
カキクケコ
これに対し、
あらゆる発音を
母音と子音に分けて表記できる
アルファベットの表音システムは、
仮名に比べて汎用性が高いと言えます。
k × a,i,u,e,o
= ka,ki,ku,ke,ko
= ak,ik,uk,ek,ok
なぜなら、
母音と子音を
別々に表記することで、
様々な言語の発音を
カンタンに表すことができるからです。
単独子音・二重子音・
三重子音・二重母音など
仮名にない発音もカンタンに表せる♪
この汎用性の高い表音システムこそ、
アルファベットが世界中の
様々な言語で使われている理由です。
まさに
表音文字の到達点!
そう思えてしまうほど、
便利な表音システムなんですね。
でも、実をいうと、
このアルファベットの表音システムは、
別に母音と子音を
区別しているわけではないんですよ。
というのも、母音と子音を
「分けること」と「区別すること」は、
まったくの別物だからです。
アルファベットは母音と子音が同列!
確かに、アルファベットは
母音と子音を並べて表記します。
その汎用性の高さから
世界中の様々な言語で使われている、
というのも事実です。
ka
でも、これはあくまで
並べているのであって、
区別しているわけではありません。
ためしに仮名と比較してみましょう。
ファ
仮名は基本
母音と子音が一体ですが、
このタイプの仮名は、
アルファベットのように
母音と子音を分けて表記します。
fa ファ
f = フ
a = ァ
なので両者とも
非常によく似ています。
でも、ひとつだけ違いがあるんです。
それは一体何でしょう?
fa ファ
FA ファ
Fa ファ
fA ファ
そう、
大文字と小文字の機能です。
アルファベットと違い、
仮名は文字の大小で
母音と子音を区別しています。
大文字が子音で、小文字が母音。
つまり、
見た目(大文字か小文字か)で
母音と子音が区別できるんですね。
〜
これに対し、
fa
は、仮名のように
Fa
と書いても、
母音と子音を区別できません。
アルファベットの大文字小文字に
そのような表示機能はないからです。
あるといっても、
せいぜい大文字の
文頭表示や語頭表示ぐらい。
あとは、デザインの一環で
大文字小文字が混ぜられる、など。
なので、アルファベットはあくまで
母音と子音を並べているだけなんです。
〜
といっても、
ローマ字ではあまりに身近で
かえってわかりずらいので、
ここはひとつ、
ギリシャ文字を例にとって
見てみたいと思います。
ギリシャ語なので、
意味や発音が
読める必要はありませんが、
知らない言語のローマ字のように、
どれが母音でどれが子音か、
少し考えみて下さい。
Ου το ζην
αλλα το ευ ζην
どうでしょう?
おそらく、ローマ字と
似ているものを除いて、
ほとんどわからないかと思います。
でも、これに仮名風の
大小を付けてみるとどうなるか。
oυ Tο ZηN
αΛΛα Tο ευ ZηN
一目瞭然ですね。
読めこそしませんが、
どれが母音でどれが子音か
一目で区別できます。
特に「υ」と「η」!
これが
「ファ」と「fa」の
表記の違いなんです。
でも、あくまでこれは
アルファベット本来の機能じゃないので、
ネイティブにはひとつの文字デザインとして
解釈されてしまいます。
アルファベットに「リズム」はない!
それでもアルファベットは
母音と子音を分けて表記している。
そこは動きません。
でも、裏を返せば、
母音と子音を同時に表記できない
ということなんです。
え?それのどこが困るの?
たしかに、
「同時表記ができない」というのは、
そんなに問題にならない感じがします。
でも、実は大問題なんですよ。
仮名と違って母音を含まないため、
一字一拍になりません。
リズム
♪♪♪
3字3拍 = 1字1拍
おと
♪♪
2字2拍 = 1字1拍
rizumu
♪♪♪
6字3拍 = 1字2拍
oto
♪♪
3字2拍 = 1字?拍
そう、文字数から
リズム数が読み取れないんです。
仮名と違い、ローマ字では、
文字数とリズム数が合いません。
これが、さらに英語になると…
rythme
♪
6字1拍 = 1字?拍
/ríðm/
母音は「y」
sound
♪
5字1拍 = 1字?拍
/sάʊnd/
母音は「ou」
1個の二重母音
もうムチャクチャです。
ローマ字の方は
一字一拍(A)
二字一拍(ka)
三字一拍(kya)
のいずれかになるので、
まだいいですが、
英語の方は、
単語や発音によってバラバラになるので、
秩序化はほぼ不可能です。
そのため、
リズムがひと目で
読み手に伝わりません。
これでは、
歌や俳句のリズムを
文字で表現することはできないんです。
もちろん、比較的マシなローマ字だって…
kimigayoha
tiyoni yatiyoni
sazaraisino
iwaoto narite
kokeno musumade
君が代の五七調を
文字で表現することはできません。
拍と文字数が合わないからです。
〜
これに対し、仮名の方は、
先ほどの「ファ」をはじめ、
多少の例外はあるものの、
基本一字一拍なので、
きみがよは
ちよにやちよに
さざれいしの
いわおとなりて
こけのむすまで
君が代の五七調を
文字として表現することが
できるんです。
それに、「ファ」のような仮名だって、
小文字を文字数に数えなければ、
一字一拍だといえますし、
その他、例外も、
「ッ」:1拍つまる音
「ー」:1拍伸ばす音
「ン」:1拍はねる音
一字一拍の内だといえるので、
仮名は例外なくリズムと文字を
同時表記できる文字*
だといえるんですね。
*ただし、戦前は
小さな仮名(捨て仮名)も
大文字表記だったので、
これには当てはまりません。
あくまで、現在の仮名
において成立します。
まとめ
☆アルファベットは
母音と子音を区別しない
○ハ(母音と子音を同時に表記)
◎fa(母音と子音を同列に並べる)
●ファ(母音と子音を区別して並べる)
★アルファベットは
文字数でリズムを表現できない
<文字とリズムの一致度>
ハ>ファ>fa>hya
〜
以上、アルファベットに
「リズム」はない、でした。
m(_ _)m
次回は4行目の
「世界中の様々な言語で
使われている」
を疑って行きたいと思います。
それでは(への)/
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