イロハ歌は全ての仮名を使った歌ではなかった!最古のイロハ歌に見る真の目的とは?

どうも、ぺのっぺです。

(への)/

今日は、イロハ歌についてひとつ

お伝え行きたいと思います。

といっても、歌の解釈ではなく、

「歌の目的」についてです。

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イロハ歌はパングラム!

まず、イロハ歌とは

いろはにほへと

で有名な日本語のパングラムです。

「パングラム」とは、

ギリシャ語で全ての文字

意味はそのまま、

全ての文字を使った

文や文章のことを指します。

また、このパングラムには、

文字を一度ずつ使った

「完全パングラム」

回数制限のない

「不完全パングラム」

2種類あります。

難易度はもちろん、

完全パングラムの方が上!

いろは歌の場合は

旧仮名含め、全ての仮名が

一度ずつ使われているので、

完全パングラムになります。

しかも、七五調四句な上、

現存最古のものが1079年

と古い!

でも、実はこのイロハ歌、

パングラムを意図した歌じゃないんですよ。

今日はそのことについて

最古のイロハ歌を紐解いて

見て行きたいと思います。

最古のイロハ歌はパングラムじゃない!

一般にイロハ歌は

すべてのひらがな・カタカナを

一度ずつ使った歌と解釈されています。

いろはにほへと ちりぬるを

わかよたれそ  つねならむ

うゐのおくやま けふこえて

あさきゆめみし ゑひもせす

確かに、「ん」を除く

ひらがな47文字全てが

一度ずつ使われています。

でも、この解釈には決定的に

「あるもの」が欠けています。

それが当時の「文字事情」

この歌の作られた時代には

現在の「平仮名・片仮名」は

まだありませんでした。

では、一体どんな文字が使われていたのか?

そこで、早速、

最古のイロハ歌に登場してもらいましょう。

以呂波耳本へ止 千利奴流乎

和加餘多連曽  津祢那良牟

有為能於久耶万 計不己衣天

阿佐伎喩女美之 恵比毛勢須

— 『金光明最勝王經音義』

 1079年

そう、「漢字」

平仮名・片仮名ではなく、

「漢字」が使われています。

といっても、中身はれっきとした

「仮名」です。

「万葉仮名(借字)」

と呼ばれる仮名の元祖で、

ひとつの発音に

複数の仮名が当てられる

一音多字の表音文字なんですね。

「イ」=以伊…

「ロ」=呂路…

「ハ」=波八…

『金光明最勝王經音義』の場合は

上記のもの以外にも2,3の漢字

併記されています。

以呂波耳本へ止 千利奴流乎

伊路八尓保反都 知理沼留遠

 

和加餘多連曽  津祢那良牟

王可与太礼祖  ツ年奈羅无

 

有為能於久耶万 計不己衣天

宇謂乃 九也末 介布古延弖

      麻 気符

 

阿佐伎喩女美之 恵比毛勢須

安作畿由馬弥志 會皮文世寸

    面 士 廻非裳

 

— 『金光明最勝王經音義』

 1079年

一見「C・K」のような

「別文字」扱いに

見えるかもしれませんが、

「C・K」と違って、

万葉仮名は「互換性」があるため、

ひとつの単語に色々な組み合わせの

スペルが生じることになります。

イロハだけでも8通り!

なので、イロハ歌全体での組み合わせは…

1.803473947×10¹⁵(千兆)

そう、天文学的です!

もちろん、併記されてるものは

代表例として載せてるだけなので、

実際にはもっとです。

(もはや銀河系の外!)

なので、全ての仮名を

使ってはいない、

いや、使てはいないわけなんですね。

イロハ歌の真の目的とは!?

それでは、一体、

何を目的に作られた歌なのでしょう?

それは…

「イ」=以伊…

「ロ」=呂路…

「ハ」=波八…

そう、「発音」です。!

イロハ歌は全ての「文字」ではなく、

「47音」全ての「発音」を使うことを意図して

作られた歌なんです。

全ての仮名ではなく

全ての読みを使った歌

これがイロハ歌の真の目的なんですね。

さしずめ、

「パンフォ二ー」

といったところでしょうか。

パンフォニー(造語)

=すべての発音

ただし、現代日本語と違って

濁音などは無視しますし、

「ピャ」「ツァ・ッ」などは含みません。

「ン」も「ム」と同一視します。

現代仮名はイロハ歌に由来♪

でも、実はこのイロハ歌、

手習い歌として使われて行く中で、

現代の平仮名・片仮名の原型を

作った歌でもあるんです。

万葉仮名以降も、

一音多字の変体仮名が使われ、

パングラムにはなりませんでしたが、

現在の平仮名・片仮名の漢字モデル(字母)は

多くイロハ歌に使われていたものに由来します。

試しに先ほどの最古のイロハ歌で

検証してみましょう。

平仮名モデル

片仮名モデル

平仮名・片仮名の共通モデル

耳本へ止 利奴流乎

反都 理沼留遠

 

和加  津

王可与太祖  羅无

 

於久 不己

 九 布古延弖

      麻 気符

 

佐伎喩 比毛勢須

作畿馬弥志 會皮文

    面 士 廻非裳

 

— 『金光明最勝王經音義』

 1079年

どうでしょう?

「キサ二」を除いて

ほとんど揃ってますよね。

でも、「き・キ(幾)」や「さ(左)」も

形の似ている「畿」「佐」が使われているので、

実質、「二」を除いて全揃いしてると言えそうです。

それと、

「む(武)」に使われてる「无」

「ん」のモデルになった漢字なので、

「ん」も実質、イロハ歌に由来してますね。

何より、「いろは」の3文字が

最古のイロハ歌の段階で揃っているのは

何とも驚きです。

「イ」=以伊

「ロ」=呂路

「ハ」=波八

それにしても、

「部」が「へ」、「川」が「ツ」

そこだけ書き崩されてるのは

何とも奇妙ですよね…。

まとめ

イロハ歌は「万葉仮名」で作られた

だから、全ての「仮名」は使えてない

よって「パングラム」ではない!

でも、全ての「発音」を使っている

言うなれば、「パンフォ二ー」♪

イロハ歌は全ての「発音」を使った歌!

というわけで、今日はこの辺で。

それでは、また(への)/

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